神輿屋根型屋台の棟には紋が有る。煌びやかな屋台の中でも一際目を惹き付ける錺金具が紋である。紋の意匠には、神紋やその屋台を所有する地区を表象するものが用いられる事が多い。
 平成17年開催「匠の技−播州祭り屋台錺金具展」では菊紋に焦点を当てて展示展開しましたが、本展示会では、その意匠に特徴のある2点と、今回初出展になる伝説の作品をお目に掛けます。

 尚、上記の菊紋の変遷については、「匠の技−播州祭り屋台錺金具展」記念写真集「意を打ち技を鏨る」に詳しく収録していますので、受付にてお求め戴きご鑑賞下さい。

意匠:千成瓢箪
製 :明治33年(1900)
作 :藤原寳満(齋藤政太郎)
材 :全木製
技法:漆塗・箔押
地区:灘・松原八幡神社/東山
 本紋以前は菊紋であったが、皇室の御稜威
を憚り改めた。
 豊臣秀吉の馬印に因み12の瓢箪を菊花弁に
見立て、何とか菊紋を残したいと云う地区神
役人の知恵が垣間見られる。
又そこには、その昔彼等を追放した憎き秀吉
を崇め奉るかの様に見せ掛けて、その実それ
を隠れ蓑に菊紋を偲ぶと云う反骨精神も併せ
見る事が出来る。
本紋は先代の紋で現在は地区で大切に保管さ
れている。対にになったもう一つの紋裏内ぐ
り底部に下記の墨書があり、大変貴重な文化
財である。
明治三十三年
     九月吉祥日刻之
男衆命
大元尊神 村内長久
五帝龍王
    細工人見野村斎藤政太郎
       藤原寳満 花押