播州飾磨彫刻師
堤義法特別展
 平成17年の6月、堤家から屋保連事務局に1本の電話が掛ってきた。
「おじいさん(義法師)の遺品を整理していたら、道具などが出て来た。廃棄しようと思うのだが、もし良ければ一度見に来ませんか?」
 よくぞ電話を掛けて下さった。この1本の電話がなければ、貴重な地域固有文化が灰になるところであった。見せて戴いた遺品のには、堤師が使っていた鏨等の道具類やそれを納める道具箱、彫刻の構図の参考にしたと思われる書籍類の他、何と言っても数百枚にも及ぶ彫刻の下絵!(屋台彫刻の他、神社仏閣彫刻のものも多数)があった。まさに播州祭・屋台文化の宝庫である。
 屋保連では早速、堤家から預かり調査・研究に掛り、現在屋台彫刻に関するものから専門家に裏打ちを依頼し、現在その良質保存を鋭意継続中であり、『播州屋台会館(仮称)』の建設が成った暁には全品寄贈する計画である。
 又、この保存活動の過程で、網干・魚吹八幡神社/先々代長松屋台の総才端鏡彫刻の下絵が見つかり、長松地区に紹介したのが契機となり、昨年大木光師の手によって復活した。真に活動冥利に尽きる感が有る。
 尚、今回の展示品は堤師のみの作品ではなく、三代目松本義廣師の作品や、釣義幸師の下絵とおぼしきものもあるが、堤師遺品の中から発見された事と、当時の一門彫刻師間の生業生態(作品の融通等)を知る上でも貴重な事実と判断し、堤義法特別展の名の下に併せて展示した事をお断り申しあげておく。



【狭間下絵】

意  匠:巴御前奮戦
地  区:津田・津田天満神社/構
下絵預り:屋台文化保存連絡会