意を彫り技を刻む
〜匠の技−播州祭り屋台彫刻展〜
【編集後記】
本年度、社姫路青年会議所 地域文化委員会では、「隠れた存在であり乍ら、21世紀へ伝えたい播磨の伝統文化を発掘し、情報発信する。」をテーマに、「存亡の岐路に立つ播州彫刻」に焦点を当て活動を展開して参りました。その集大成とも言えるのが本写眞集『意を彫り技を刻む』です。
冒頭にも書いております様に、本写眞集は、平成8年9月5日〜23日迄姫路市書写の里・美術工芸館に於いて開催された、「匠の技−播州祭り屋台の彫刻展」(主催:姫路市書写の里・美術工芸館、企画・協力:姫路青年会議所地域文化委員会) の出展作を図録編纂したものです。
誌面を借り、貴重な地域の文化財を長期間に亘り、お貸し戴いた出展元の皆様に厚く御礼申しあげます。
本写眞集発刊の背景には、彫刻師の悲痛な叫びがあったと思います。作品の本当の価値が理解されていない為、手荒く扱われたり、破棄されたりと、年を経る毎に価値ある素晴らしい芸術的作品が失われつつあります。
その流れに歯止めをかける為に、今年しなければならない事が、秀作を集めての展示会であり、写眞集であったと思います。これにより播磨の貴重な文化財が、自分の町・村の屋台にあると云う事を、所有する地区の方お一人おひとりにご認識戴けたと確信致しております。
実際に、今回の活動に依り、数地区で保存会が結成されたり、伝統を守っていこうと云う決議が地区の役員会でなされたりした事は、最大の成果であったと自負致しております。
作品には、彫刻師の意(こころ)が彫ってあると云う事を、伝統を受け継ぐ我々は、肝に命じなければならないのではないでしょうか。
又、本写眞集収録の作品は、一部を除いて全て現役の狭間・露盤です。
この本を手にされた皆様、今度は是非、実際に屋台にはまっている狭間・露盤を、生きた姿をご覧になって下さい。その為もあって、それぞれの地区の祭礼日も併せて掲載させて戴きました。
しかし、本写眞集は本年度の活動の集大成ではあっても、「播州彫刻」に関しての活動の終着点ではありません。 今後、社姫路青年会議所が行わなくてはならない事は山とあります。
先づ第一は、「播州彫刻」に関する更なる情報発信です。岸和田・淡路等「播州彫刻」の流れを汲む地域が在ります。こういう共通文化を有する地域との交流を深める事が、「播州彫刻」のすばらしさを広める第一歩となると思います。
第二は、我々民間レベルだけではなく、行政機関により、この素晴しい庶民文化である「播州彫刻」を認知して戴ける様、働きかける事です。市の、町の、村の、認定こそ、貴重な文化財の遺失を防ぐ最高の保護策であると考えます。
第三は、「播州屋台会館(仮称)」の建設です。これは、播州彫刻だけに止まらず、
@播磨伝統文化に常に触れる事の出来る場
A播磨伝統文化を常に情報発信出来る拠点
B播磨伝統文化継承に資する青少年育成の場
としての機能を保有したものにする必要があるでしょう。
しかし、これも我々の活動の終着駅とは言えません。我々の目指すものは、「播州彫刻」の復興です。
幸い、姫路より彫刻のメッカ・富山県井波町へ、数名の若者が彫刻の修行に行っています。いつの日か、彼等が地元・播州に帰って来て、「松本義廣」・「黒田正勝」の大名跡を継いでくれる事を祈っています。
末筆になりましたが、全てに亘り監修戴いた粕谷宗関氏、多大なご支援を戴いた久保秀文氏を初めとする姫路市書写の里・美術工芸館の皆様、更にご協力戴いた全ての皆様に心より深く感謝申し上げます。
有り難うございました。
合 掌
平成8年8月吉日 (社)姫路青年会議所 地域文化委員長
岡 上 一 彦

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