魚吹・西土井/水引幕

作:三代目 常三郎
製:大正12年(1923)
寸:79.5×451.0
[佐伯景弘]                     [宮島辧財天]                  [龍]              [平清盛]
[平清盛と安芸の宮島(一枚鱗)]












所有:姫路市書写の里・美術工芸館
(平成6年 網干・魚吹八幡神社/西土井より寄贈)

平清盛と安芸の宮島は、絹常の現存する作品の中で最も多い図柄の一つである。
宮島は、太古の昔より島そのものが神として信仰の対象として崇められ、
厳島神社の創建は推古天皇即位元年(593年)と伝えられている。
清盛の時代には平家一門の信仰篤く、
清盛の家人でもあった神主・佐伯景弘は、朝廷に厳島神社造営を訴え、
仁安3年(1168年)に社殿を大修築、現在の規模になった。
厳島神社の海中を敷地とした構想は、
祭神が海神である為、現世に竜宮城を再現しようとしたとも云われている。

本作品は、清盛の袴の部分が非常に細かく仕上げられている。
「糸より」の技術を駆使する事により微妙な色合いを表現し、
袴の紫を徐々に淡くしたグラデーションは絶妙である。
袴の模様も金糸で多彩に表されており、
贅を尽くした清盛の容姿が遺憾無く発揮された作品である。